森です

東京で居候生活中
じきに大陸へ渡ります。

今回は96ヶ国目の訪問国、
ザンビアにあるビクトリアの滝での
バンジージャンプの様子をお届けします。
(2012年5月訪問)

世界三大瀑布の内のひとつ
Victoria Falls(ビクトリアの滝)は
アフリカ南部のザンビアとジンバブエの国境にあります。

両国はザンベジ川によって分けられており、
その渓谷を結ぶ橋がこれです。
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この橋の上からバンジージャンプができるわけです。

橋の高さは100メートルを超えます。
世界一高いブリッジバンジーらしいです。
そんな橋でバンジージャンプ初体験です。

胸を張って告白するならば、
私はバンジージャンプをまったく恐れていません。

TVの企画で飛ぶ前に怯えて、躊躇してる人がよくいますが、
「足にちゃんとした命綱を装着しているのに
どうして飛ぶのを恐れるのだろうか」と、
とても不思議に思っていました。

ですから、
「世界一高いブリッジバンジー」と言われても
なんの不安もプレッシャーもありません。
床屋に行く程度の気軽さで現地へ向かいます。

橋への行きかたです。
まず、ザンビア側からだとタクシーか乗り合いバスで
橋の手前まで行って、そこから歩きます。五分くらい。

ジンバブエ側の場合、
ヴィクトリア・フォールの町から
歩いていけます(20分くらい)

ザンビア側にある管理小屋で
バンジージャンプの登録をします。

書類の内容はいわゆる、
「あんたの身になにがあってもあんたの責任だかんね」
という乱暴な誓約書です。

さてさて
実は、
私はザンビアの宿にいるときに、ここのバンジーでおこった事故の話を耳にしました。
今から数ヶ月前に、
バンジージャンプをした女性の足の綱が外れたか、切れたかで、
その人が川に落下したそうです。
幸運なことに、ゴムが伸びきったときに川へ落下したので
女性は無事でした。
しかしその女性は、川にワニがいることを知っていたので
必死で岸まで泳いだそうです。

悲惨ですね。

しかしそういったことは滅多に起こりません。
それに一度起こったら、スタッフもそれなりの対策をしているはず。
そう信じて、あの乱暴な契約書にも軽やかにサインしました。

次に体重を計ります。
この体重はロープの調整に必要なようです。
計った体重をマジックで腕に記されます。
上が体重、下がその日にジャンプした人数。
P1040462_800.jpg
バンジーをしたいと思っている人で
「絶対に知られたくないもの。それは自分の体重」
という方は、ビクトリアの滝でのバンジーはあきらめてください。

料金は120ドルです。
超高額です。
ザンビア人の1月分の給料は超えてると思われます。
そんな大金を払ってまで橋から飛び降りるなんて
現代人って変わってますね。


さて
バンジーの設備は橋の中ほどにあります。
そこへ向かう途中、橋から下を見下ろして
「おや?」と思いまし
た。
_MG_0206_800.jpg

いつもこういう風景を見たら
「絶景やなー」
と感心します。
しかし、
そこへ飛び込むことを前提にして渓谷を
見てみると、ぜんぜん見え方が違ってきます。

「ココヲ、トブ、オレガ?」
予想外に心が動揺してきました。
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バンジーブースへ着きました。
周りにはバンジーを見る見物人がいます。
_MG_0192_800.jpg

今日は飛ぶ人間が少なかったみたいで、
やっと現れた私(飛ぶ人)はとても歓迎されました。

そしてスタッフから飛び方の説明を受けます。
_MG_0204_800.jpg

「両手は大きく広げて」
「飛び降りるのではなく、前にジャンプするように」
「余計な考えは捨てること」
と係員は言います。
「ヨーダがそんなこと言ってたよ」と私。
「え?」
「考えるな、感じろって」
「そうそう。ヨーダは正しい」
などなど
緊張感のない話をしている間に、
橋の向こうが視界に入りました。

「ココヲトブ?」
胸に膨らむものは期待ではありません、
「マジデ?」
膨らんだのは不安でした。
ジャンプする気合がめっきりと減っていきます。
_MG_0154_800.jpg

そんな私の気持ちは頓着せずに、
スタッフが私の体に装備を装着していきます。
体に巻いたベルトは、飛んだ後の回収用でロープはつきません。
_MG_0161_800.jpg
足のロープだけで支えます。

さて
その一番大事な足のロープですが
これがけっこう不安なものでした。

厚いバスタオルのようなものを、
足首に8の字を描くようにきつく巻いていきます。
そうしておいて、両足の間に一本のロープを引っ掛けます。
以上。
ロープはきつく巻いてはいますが、ずれそうですし
何かの拍子で外れそうな気がします。
「これ大丈夫?」とスタッフに訊きいてみます。
「もちろん」
「これだけで外れないの?」
「もちろん」
と、スタッフは自動音声のように返事をします。

そしていざ、係員2人に付き添われて
ジャンプの場所へ行きました。
ベルトのせいで足の自由は利かないので、
歩き方はペンギンのよう。
ちょこちょこと可愛い歩き方になります。

いよいよ格子状のタラップから眼下の川を見下ろします。
即座に
「これ、ムリだ」
と、そう感じました。
_MG_0155_800.jpg

なんというか、
本能が拒否する感じです。
理性では、安全のロープが付いていると知っていても
本能のほうはそんなことはわかりません。
「この高さから落ちたら確実に命を失う」
と、本能が肉体にそう警告します。
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これはいかん。
一歩下がって天を仰ぎます。
_MG_0170a_800.jpg
「俺に時間をくれ、少し考えさせてくれ」
と私が言います。
「考えるなって」
スタッフが言います。

そうは言っても飛びたくない。
飛ぼうかどうか、
ではなく、
もう飛びたくない
というレベルまで到達しました。

しばらく逡巡します。
「うーん、どうやったら止められるだろうか・・・」
_MG_0171a_800.jpg

完全に腰が引けている私に、周囲から声援が飛びます。
「がんばれ!」
「行けー!」
「飛べ!」などなど。

飛びたい(というか、飛ばなきゃいかん)
という気持ちはありますが
谷底を見ると足がすくみます。

ああ、バンジーをする前の私は、
「ただ飛べばいいじゃん」などと思っていた・・・
私がばかでした。

今すぐ
地球上の全てのみなさんに菓子折りを持参して、
「ごめんなさい」と言って周りたい。
そして
飛ぶのを止めさせてもらいたい、
そんな気分でした。

しかし2人の係員は私を飛ばす(落とす?)気満々でいます。
「下を見るな!前方の空を見るんだ!」
「そして空に向かって飛べ!」

係員の1人が私の後ろについて、再び足場のエッジまで誘導します。
彼らは私の手を鳥のように拡げさせます。

しかし私にとってその格好は鳥ではなく、
磔にされたイエスの姿勢です。
最後の時です。

そもそもバンジーを飛ぶなんて
自分で勝手に決めたこと。
それを自分で中止してなにが悪いというのか?
とはいっても、
周囲の期待に裏切ることがなんとなく申し訳い。

実に日本人的な思考です。

いつまでもこうしてはいられません。

頭を空っぽにすることにしました。

土から掘り出した大根を洗って泥を落とすように、
余計な考えを振り払って意識を真っ白にしました。

飛ぶことしました。
「飛ぼう」ではなく「飛ぶ」と思いました。

そして教えられた通り、前方へジャンプします。
バンジー。
その様子を動画でどうぞ。



最初は空が見えました。
次に崖の上のジャングルが見えます。
そして茶色い崖の肌が見えて、
そのあとザンベジ川が目に入ります。
体が逆さになったわけです。


周囲の空気を取り残して身体が落下していきます。
風が顔を叩いて、轟とした音が瞬間ごとに増していきます。

落下するにつれて視界が狭まっていきます。
向かう先の川面以外は何も目に入りません。


重力に引かれて刻一刻と加速していきますが
その時間は5秒ほどでしたでしょうか。
足首のゴムが反発しはじめます。

ゴムの抵抗が加わり
体が減速していきます。
このとき
足首のロープが外れないか激しく不安でした。

ゴムが伸びきって、一瞬静止します。
そのあとで
反動で体が急上昇します。

遠投の野球ボールのように体が宙へ放り投げられます。

その後は上がったり下がったりの繰り返しです。
ゴムの反動になすがままに振り回される私。
この時間は
とても「屈辱的」な時間です。


私の状態がある程度静止すると
回収スタッフがきました。
するすると降下してきて私を確保します。

「暴れずに、そのままで」スタッフが告げます。
私に回収ロープを付けて、引き揚げます。
私はほっと一息つきます。

「あんたの仕事はすばらしい仕事だね!」とスタッフに声をかけます。

「すばらしくて、そしてクレイジーな仕事だよ!」スタッフは笑います。

橋の下にある通路に運ばれてはい、
これでバンジー終了です。

バンジージャンプ
ただ高いところから飛ぶだけですが、
想像していた以上にこわかった。
でも色んな感情が味わえる
楽しい体験です。
みなさんも一度はやってみてください。

今回はこれで。
では。
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コメント

恐ろしく臨場感があって読みながらドキドキしてしまいました。頭を真っ白に切り替えて不安でも飛ぶ勇気、すごいです!

Re: タイトルなし

頭ではなく体が拒否するってのは
予想外でした!

URL | 森たくや ID:-

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