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森です。

今回は101ヶ国目の訪問国
スワジランド王国で起きた盗難事件の第三回です。

今回は盗難事件発生と、犯人探しです。

少し長く、
文章も多いので、そのつもりでどうぞ。

アフリカ南部からタンザニアまで北上するために
南アフリカ共和国の首都プレトリアから
スワジランド王国マンジーニ行きの乗り合いバスに乗りました。

車内は満席で、荷物は後ろのカーゴで運ばれます。
こんなやつ。
P1180128_800.jpg


町を出ると畑が広がります。
よく開墾されていて、安定した生産量が見込めそうな印象です。
P1180150_800.jpg
南アフリカ共和国が
アフリカの中でも豊かな国であるのが納得できる景色でした。

P1180158_800.jpg
小さい町をいくつか過ぎたあと国境に着きました。

ここで車を降りて、入国管理所で出国・入国の手続きをします。
P1180159a_800.jpg


カーゴの荷物は、そのままカーゴに乗せた状態でチェックをするとのことで、
バスに引っ張られていきました。
いま思えばこのときムリにでも「自分で持って入る」と主張すべきでした。

出入国に関しては、南アフリカ、スワジランド、
ともにとても簡単でした。

スタンプを押してもらって、
晴れて101ヶ国目、スワジランド王国に入国です。

ゲートからの眺め。
_MG_2030のコピー_800
スワジランド側の国境ゲート。
_MG_2034のコピー_800

このあと再びバスに乗り込んでマンジーニまで行くので、
乗ってきたバスを探します。
ドライバーは「国境を越えたところに停まってる」
と言っていたので探しましたが、見つかりません。
しばらく辺りを探しました。
_MG_2037のコピー_800

あちこち探していたら、同じバスで来た人が私を見つけて
バスの場所まで案内してくれました。

バスは入国管理所の向かいにあるバラックの裏の、
薄暗い場所に停まっていました。
すでに半分くらいの乗客が戻ってきています。

私はバックパックが無事かどうか、カーゴを確かめました。
入国管理ビルの巨大な白いライトが、うっすらとカーゴを照らしています。

カーゴを覆うネットがめくられていました。
入国管理官が荷を検めたせいだろうと思いました。

私のバックパックのトップカバーが開けられていました。
殺された牛の頭みたいにダランとぶらさがっているカバーを見てもそのときは、
「だらしない管理官が、中を調べて閉め忘れたのか」としか思いませんでした。

大きく開いたザックの口に手を突っ込んで、中を確かめます。

そこであるべき場所にラップトップPCがなくなっていることに気づきました。

すぐに「入国管理官に没収された」のだろうかと、
そう考えました。

というのも、
アフリカの国境には、ときどき悪徳役人がいます。
本来ならラップトップPCは持ち込みに問題ない荷物ですが
関税がかかるとか、持ち込み禁止とか、
言いがかりをつけて困らせて賄賂を払わせる
そんな腐敗した役人です。

私はまだスワジランドの治安も、役人の腐敗度も知らないので、
その可能性を考えて、入国管理局に問い質しに行きました。

管理局の中は制服を着た職員がたくさん、
蛍光灯の下で書類に向き合っていました。
来館者の声が混ざり合って、空気がやわらかに揺らされています。
どこか日本の市役所のロビーのような雰囲気です。

職員に私のラップトップについて訊いて周りましたが
みんな知らないと答えます。

スタッフの対応は誠実で、嘘はついていないようです。
とすると、もしかして、、、

ここで初めて「盗難」という言葉が頭に浮かびました。
どうやら、それが唯一の現実だと認めざるを得ないようです。

私は乗り合いバスへ戻って、
「俺のラップトップが盗まれたみたいだ」とドライバーと乗客に告げました。
私の他には、被害者はいないようです。

状況的に、犯人は乗客の中にいるはずです。

なぜなら、ここで状況を整理してみると

バックパックの中には現金やカメラも入っていましたが
盗まれたのはラップトップだけだった。

それとラップトップは、バッグに手をつっこんだだけでは、
すぐには見つけられない場所にあった。

さらに、カーゴには他の乗客の荷もたくさん積まれていたので
犯人はその中から外国人である私のバックパックだけを狙って
盗みを働いたことになります。

つまり犯人は、
そのバッグが外国人である私の荷物であることと、
その中にラップトップPCが入っていることを知っている人物
だった
というわけです。


私はプレトリアでバスの出発を待つ間に一度、
バス内でラップトップPCを開きました。
犯人はきっとそれを見ていて、狙いをつけていたのです。

普段なら、人目につく場所では高価なものを見せないよう注意します。
しかしあのときはその注意を怠っていました。
プレトリアで撒いたタネが、スワジランド国境で花ひらいたわけです。

さてそんなわけで、
乗客のなかに犯人がいる可能性は高いですが、
ではどうすればいいでしょう。
一人ひとり問い質して、荷物を検査するのは、現実的ではありません。

そして、違和感もありました。

どういうことかというと、
目的地であるマンジーニまではまだ距離があります。
夜になったこの時間に、このバス以外の交通手段はありません。
マンジーニに行くにはこの先も私と同じバスに乗らないといけません。
それなのにこの国境で、荷物を盗んだりするでしょうか。

それで私は乗客に聞いてみました
「この国境で、バスを降りた人はいる?」
すると、
「1人だけ、この国境でバスを降りた人がいるよ」
と乗客の1人が教えてくれました。

となると、この状況ではその人間が一番怪しいことになります。

「それってどんな人?」
いっぱい額縁を持ってた男だよ」
その額縁なら知っています。
私がプレトリアのタクシーランクでバスの出発を待っているときに、
「ちょっとここから離れるから、この荷物見張っててくれ」
と私に預けていった荷物が額縁でした。
そして私に頼みごとをしたその男が、この国境でバスを降りたというのです。
それは30代初めの、中背の男でした。

私はドライバーに、男がいつ車を降りたのか訊きました。
「それはよくわからないが、その男なら入国管理官とちょっとモメてたぞ」
と、ドライバーはそう言いました。

どうやらその男は、入国管理所の税関で、
額縁に関税がかかる、かからないで、係員と言い争いをしてたらしいのです。

それでまだ足止めされていたら幸いだと、私は急いで入国管理局の建物に行きました。
さらに、私のラップトップが盗まれたことを知った乗客の女性も、
額縁の男がどこに行ったのか、周りで聞いてきてくれると言ってくれました。

結局、入国管理局の建物にその男はいませんでした。

職員は「その男ならさっき外に出て行った」と
そう教えてくれました。
男の親がここまで車で迎えに来ていて
それに乗って帰るらしいのです。

それなら、
もう男はスワジランドのどこかへ消えただろうと、
私は落胆して外に出ました
そのとき、
「おーい」
と、私を呼ぶ声が聞こえました。
男を探すのを手伝ってくれていた乗客の女性が
あるピックアップトラックの前で私を呼んで手招きをしていました。

その隣にはあの額縁の男がいます。
男は車の荷台に荷を積んでいる最中でした。
隣には、男の母親らしき人がいます。

女性が事情を説明してくれたのでしょう、
「車を調べさせてくれ」とお願いすると
彼は文句も言わず承諾しました。

その態度があまりにあっさりしているので、
「この男は犯人じゃないかもしれない」
と、そう思いました。
それに、母親が車で迎えに来ているなら、
国境でバスを降りるのも不思議じゃありません。
この男はマンジーニではなく、
バスのルートから外れた村にでも住んでいるのかもしれません。

そんなことを思いながら、とりあえず荷を確かめました。

運転席にも荷台にも、それらしいものはありません。
男が運んでいた額縁の束は二つあり、
どちらにも、数枚が重ねられて、
テープでぐるぐる巻きにされていました。

額縁の隙間をライトで照らしてみましたが、暗くてよくわかりません。

テープをほどいてバラバラにして確かめたかったけれど、
確証もなくそこまでやってよいのか、決心がつきませんでした。

私は諦めて、男に協力してくれた礼を言いました。
「いいんだよ。見つかるといいね」
と、男とその母親が二人で私を慰めました。
本当に犯人じゃないのかもしれません。

この男が犯人じゃないとなると、
他の乗客も調べないといけません。

乗り合いバスのドライバーが、もうこれ以上私を待てないと言いました。
彼にとってはそれは当然のことでしょう。

しかしこの時間にはもう他の輸送手段がないので、
「もう少し待ってくれよ、このバスが行ったら、ここから動けなくなる」
とお願いしました。
「じゃああと少し」とドライバーは言ってくれました。

国境警察がやってきて、私に事情を尋ねました。
誰かが盗難事件のことを話したようです。

私は国境警察の駐屯ブースで話をすることになりました。

そのとき、乗り合いバスは発進しました。
私が駆けて追いかけても無視して走り去ります。

バスが停まっていた場所の砂利の上に、
私のバックパクが投げ出されていました。

夜は更けて空が暗く深くなりました。
山間の国境は越境者も少なくなって寂しくなっていきます。

寒さが増してきて、国境職員たちはそれぞれ
夜空と同じ色をした厚手のコートを着込みました。

バックパックを担いで、国境警察の詰め所へ向かいます。

詰め所は入国管理所の脇にありました。
小さなコンクリートのブースで、ドアすらなく、
手持ち無沙汰の警察官がストーブの周りに集っていました。

私はそこで、警察官たちに被害とその状況を話しました。

警察官たちは、
同情こそしませんが、私を丁寧に扱ってくれました。

巨漢の女性警官は、
「ああ、その男なら覚えているわ。さっき税関でモメてたものね」
と、くだけた調子で私に声をかけ、
口紅で真っ赤にした唇をなめて、それでどこかに行きました。

「なくなっているのがパソコンだけかどうか、いま確かめてみるといいよ」
と警官からアドバイスされ、
私はストーブで冷えた手を温めながら、バックパックの中身を確認し始めました。

一つ一つ確認していくその持ち物が珍しいらしく
警官たちが興味本位で尋ねてきます。

「それはなに?」
「これはカメラのレンズ」
「それはなに?」
「これはコンタクトレンズと保存液、眼鏡」

そのうちさっきの巨漢の女性警官が戻ってきました。
彼女も私に尋ねました。

「これはあなたの?」
そう問われて顔をあげると、彼女の手に私のラップトップがありました。

私は頭が空っぽになりましたが、かろうじて訊かれたたことに答えました。
「そう。それ俺のだ」
女性警官が国境ゲートの方に向かって
「そいつ!」
と叫びました。

その瞬間、国境ゲートの黒い人だかりの中の、
一つの影が銃弾のように飛び出しました。

続いて警官がその影を追いかけました。
走る影は男のようでした。
その男はライオンに追われたインパラのように全力で走って、
警官の手の届かない国境地帯の森へと消えていきました。

私はコンクリートの警察詰め所から、
舞台の催し物でも見るかのように
その光景を眺めていました。。。。。

その④に続く。

長くなったので今回はここまでです。
次回は事件の結末と、喜劇でしかない三者面談の様子をお届けします。

では。
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