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国中、いたるところに河川が走る国。

そんな国バングラデシュ。

前回
バングラデシュの庶民の足として
建造80年というクラシックな外輪船があることを知った。

外輪船は、ロケットスチーマーと呼ばれている。
当時の船の中ではきっと
「ロケット」と呼びたくなるくらい
運行速度が速いものだったのだろう。


80年間も現役というのも、すごいことだ。
そんな長期にわたって現役なのは
このロケットスチーマーと内海圭子師匠くらいなものだろう。

私はというと
ロケットスチーマーの写真を見たときに
「トム・ソーヤに出てたやつだ、乗りたい!」
と細い目をハートマークにした。
↓前回までの顛末はこちら。↓
バリサルで美味魚イリッシュを頂く。

今回はその続き。
ロケット・スチーマーという古い外輪船で首都ダッカへ北上しました。
そのタイムスケジュールや値段などを書いておきます。
(情報は2016年9月のものです)

まず
バリサルからダッカ行きの船は二種類あります。

「ローンチ」

「ロケットスチーマー」です。


「ローンチ」
ローンチ船
新しい船。

大型で、地元の人はダッカへいくのにこれを使う。

乗船時間もすこし短い。

バリサルを20:00発→ダッカ翌5:00着。

席は個室と、デッキ(屋根付きの甲板で雑魚寝です)。

デッキは200タカ(約260円)。

ローンチはこの国の河川交通のメインフェリーです。

チケットはバリサルで一番大きな船着き場のビルの
チケットカウンターで買える。

便数も多く、毎日三艇が同時刻に出発するそうだ。

なので、直前にチケットを買いに行っても
満席ということはないと思う。


続いて
わたしが乗る外輪船
「ロケットスチーマー」

1910年代に造られた船体で、船外の巨大な車輪を回して進む。

ローンチに比べて小さく、遅い。

ただ、ロケットスチーマーしか停まらない町もあるので
地元民でもそういう人はこちらを使っている。


ボリサル18:00発→翌6:00ダッカ着。

料金はデッキで170タカ(230円)。
個室は1000円くらいしたと思う。


ローンチとロケットスチーマー。
もちろん選ぶのは、トム・ソーヤの船
ロケットスチーマーである。

チケットは当然デッキだ。
地元の人たちと雑魚寝をするわけだが
場所があるかすこし心配だ。

しかし安いので、不便も仕方がない。


ロケットスチーマーのチケットは
乗船の1時間前、つまり17時にチケットカウンターへ行けと
教えられた。

チケット売り場は、船乗り場の「イシュテバル・ガット」


イリッシュ

イリッシュ

こちらがイシュテバル・ガット。
チケット売りの小屋は17時にならないと開かない。
ロケットスチーマー

デッキのチケットだが
こちらも売り切れる心配はないと思う。

なぜなら、デッキはただの床だから。
定員などもなく、求められるだけ売る。
それで人が溢れても、自分たちでなんとかさせる。

途上国の交通機関は、
快適なサービスは金で買わないといけない。

そもそも客を目的地へ運ぶことが第一義の目的で
それ以外のサービスを追求する気もない。

デッキから人が溢れてままならなくても、
乗客でなんとかしろという姿勢だ。

だから、デッキは少し不安・・・


こちらが料金表。
ロケットスチーマー
本当に、一文字もわからん。
「デッキをくれ」
とそれだけ言って、チケットを買った。


乗客と港で待つ。
ロケットスチーマー

ピーナツや、飲み物、敷物売りが商品を抱えて声をかけていく。

ここで注意点だが
デッキに乗る人は、敷き物を用意した方がいい。

デッキの床は木製で、染みや食べ物のカスなどで
けっこう汚れている。


18:30。

紫色の薄闇の中、桟橋の人々がひとり、またひとりと
河の彼方を指す。

指の先に、ロケットスチーマーの船影がある。
灯篭の船みたいに、オレンジ色の明かりを灯した船が
桟橋へと向かってくる。

みなの動きがせわしなくなってくる。

そしてロケットスチーマーはやってきた。
ロケットスチーマー


船体はやはり古めかしい。
しかし私の頭に浮かんだのは
「これがかつての最新型の船だったのだ」
ということだった。

手漕ぎ以外の動力で河上を進む船は

人力での移動速度をはるかに凌駕している。

この船が新造されたとき
その姿を見た人たちはそれこそ
未来の乗り物だと感じたはずだ。

この時ロケットスチーマーを目の前にした私は
なぜが
そういった「未来技術への明るい驚愕」
みたいなものに胸を満たされた。

きっとそれは
周囲の光景、乗客や物売りなどのふるまいが
80年前の光景とあまり変わっていないだろうと
そう感じられるからだ。

船が近づくにつれ
まっさきに乗船しようと
じりじりと桟橋の淵へと集まる群衆。
整列して乗船などは、誰も考えてはいない。
きっと乗船時は昔も、同じような感じだったのだろうと思う。

そんな群衆の方へ河面を滑るように近づいてくるロケットスチーマーは、
80年前から同じような光景を見続けているだろう。

このようにして80年前から、
船旅に発った人たちがいるのだと
そんなことが肌に感じられる。

ロケットスチーマー

だが
船が近づくにつれ、
そんな浮世離れしたある種の「優雅」な感慨などもてない状況になってくる。

デッキ席の乗客は多い。
そしてみんな、場所取りに殺気立っている。

これからデッキで一晩を過ごすのだ。
横に寝る場所を確保しなければならない。

船は接岸した。

船体が桟橋に寄せられた瞬間から、
人々が船に飛び移っていく。

梯子をかけられるのなど待ちはしない。
そんなことをしていたら、いい場所は取れないのだ。

みんな外輪の車輪カバーに飛び移って、足を滑らせながらも船体をよじ登っていく。

そんな人の流れを私は、
桟橋で眺めているだけだ。

重さ20キロのバックパックを背負っているので
さすがに飛び移ることができない。

ほかにも
女性や子供、老人たち、
私と同じように荷が多い連中は
船から渡し板がかけられるのを待つことになる。

そして15分後、乗船した。

機関部を横目に、デッキへとあがる。
Rocket Steamer

想像通り、デッキはもう人で埋まっていた。
Rocket Steamer

みんなシーツで場所取りをしている。

この船はクルナからきているので、そこから乗ったものもたくさんいたのだ。

それにしても、足の踏み場もないとはこのことか。

うろうろと探し廻って、
どうにか一番端の、デッキの柵沿いに
一人分が横になるスペースをみつけた。

隣のお婆さんに訊くと、
どうやら誰もいないようだ。

バックパックを置く。
いつも感じる、バックパックを下した瞬間の
解放感。

心も落ち着いてくる。
すると気が付いたことがある。

柵の周りがどこも、一人分だけ開いているのだ。

どうやらここに来るまでに雨があったみたいで、
床板がひどく濡れている。

なんとか乾いているのは、
私が選んだ場所だけだった。

どうやらこの場所は
雨が降った時に濡れるから、
みんな敬遠しているようだ。

だが
私にはもう、他に場所はない。

明日の朝までに雨が降らないようにと、祈る。


座ると
周囲の人間の質問攻めが始まった。

バングラデシュでは、外国人旅行者は珍しがられる。

今回はしばらく行動を共にするので、
質問には丁寧に答えていく。


いろいろと面白いことがわかってくる。

周囲の家族だと思っていた集団は
実はみんな個人の乗客の集まりということだった。

それで私は驚いてしまった。

なぜなら、お爺さんは子供を膝に乗せているし
その母親の女性は、横になっているおばあさんの世話を焼いていた。

若者は三人、親密に話し合っていた。

そんな彼らが、みんな偶然ここにのり合わせた
他人なのだという。

唯一、母と子だけが親子だということだ。

袖すりあうのも何かの縁。

他人の子供でも、お爺さんが孫のように面倒をみる。

年下の女性は、年上の者の世話をする。

そういったことが当たり前に行われている。

きっとそれがバングラデシュ的であるのだ。
そしてそれはムスリム的でもある。

共同体としての絆が深いと言えばよいのだろうか。

「個」と「他」の境がしなやかなのである。

そういった状況だから
窃盗の不安はあまりないようだった。
もちろん警戒はするが。


彼らと話をしているうちに、船は岸辺を離れていった。

そして2時間後
すっかり暗くなった。
昼間の熱気がまだ残り
夜自体が汗をかいている。


周りの乗客はひとしきりの話が終わると
そうそうに横になってくつろぎだした。

私もバックパックを枕に横になる。

風が吹き込んでくるので
まだ暑さはしのげている。

ときどき、岸辺の灯台が大気に
赤い視線を投げるだけで
そのほかは陸と川面の境界もおぼろげにする
そんな湿った闇のカーテンが降りている。
世界全体が水槽の底に沈んでしまったかのようである。


いきなり
真っ暗な河岸が、
音のない強烈な雷光で照らし出された。

じきに空気が重い湿り気を帯びてくる。
風の塊が船体を叩く。

雷光は繰り返され
そのうち低い獣の唸り声みたいな雷音を伴うようになった。

惧れてい暴風雨がやってきた。

雨がデッキの端に吹き込む。

つまり私のいる場所だ。
みな、中央に避難をはじめる。

ただでさえ狭い空間が、さらに狭く使われる。

ただ、私の周りの人たちが、場所を詰めて私の場所も作ってくれた。

一度挨拶をかわせば、いろいろと世話を焼いてくれる。
そういう懐の深さを、外国を旅行していると感じることが多々ある。

ふと雷鳴が止んだ。
川面も凪いでいる。
急な変化に外の様子をうかがってみる。
すると無音の中
水面にローンチが現れた。

ロケットスチーマー

ローンチは
その船体の周囲だけ
雷雨をとめる機能でも搭載しているのだろうか。

白い船体は河上のバースデーケーキみたいで、
無音でロケットスチーマーを追い抜いていった。

しばらくその光景を眺めていたが、
船灯が河の彼方に消えるとともに、
雷雨がまた始まった。

船は暴風雨に晒される。
巨大な雷光。揺れる船体。眠れない者が体を起こし
黒い河を見守る。

転覆したらと、そう想像するのは私だけじゃないはずだ。

天井の救命具を数える。乗客に比べて絶望的に少ない。
ロケットスチーマー

泳いで岸までいけるだろうかと、荒れる川面から目算してみる。

そんな不安がいつまで続くのだろうかと
その考えでまた不安が増す。

しかしそのうち雨はやみ風が収まり、雷が消えた。
河上は元に戻っていった。

雷雨は始まったときと同じように
いきなり終了した。

そして人々はまた、眠りについた。


途中、チャンドプールという港で人々の半数が下船する。
この港はローンチが停まらないらしく、
ここが目的地の人はロケットスチーマーに乗るのだ。

スペースができたのでそれからはのびのびと眠ることができた。

目が覚めると、いつの間にか夜明けになっている。
ロケットスチーマー


到着時刻の6時になっていたが、昨夜の暴風雨で遅れが出ている。
ロケットスチーマー

結局、4時間遅れの午前10時にダッカへ到着した。

遅れても誰も文句を言わない。

乗り物とは遅れるものなのだ。

そして、無事に目的地へ着けたのなら
それでよいのである。

ロケットスチーマー

こうしてロケットスチーマーの旅は終了。

地元の人たちに混じった船旅は、よい経験になりました。

でももし次回というものがあれば、
そのときはローンチを使うと思います(笑)


では今回はこれで。
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コメント

初めまして

初めまして。
裕治伯爵と申します。
この記事を見て、古いパスポートを引っ張り出しました。
(笑)
2005年「ロケットスチーマー」求めバングラデシュに向かいました。
しかし
故障で乗船の夢叶わず。
結局
ダッカ~チッタゴン~コックスバザール~テクナフと旅をした思い出が。
2018年には長期の休暇が取れるので「ロケットスチーマー」
リベンジしたいと思ってます。
でも
狙いは雑魚寝ですが
少し心が折れたような。
(笑)
あと
テクナフから
セントマーチン島まで行けなかったので
これもリベンジしたいと思ってます。
今は
このような旅は不可能ですが
見てるだけで
ワクワクします。

URL | 裕治伯爵 ID:-

初めまして

10年前にバングラ行ったんですね。
今よりさらにワイルドだったろうと思います。

コックスバザール!
世界一長いビーチですね。
東の方は行けなかったので
うらやましい。
ロケットスチーマーは個室をとっておいて
デッキは覗きにいくくらいでも楽しいと思いますよ。
貴重品の心配もないですし。

2018年、夢が膨らみますね!

URL | M ID:-

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