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2016年の南アジアの旅

8月下旬
ニュー・デリー、午前4:30
パハールガンジの安宿をでる。

パハールガンジ

夜明け前。
裏路地は静か。
野良犬が通りかかり
怪訝そうな目でこちらを見ていく。
夜明け前は彼らの世界で
こちらが迷い犬になったような気分になる。

人の姿はまだない。
荷運びの労働者が荷台の上で寝ている。
汗で汚れたシャツ。
きっと彼らの財産はその荷車と、自らの肉体だけなのだろうと
そんなことを考える。

夜明け前でも通りに危険な様子はない。
ごく平穏。
しかし警戒は怠らずに駅へと向かう。


インド入国の日は8月24日にした。

クリシュナ・ジャンマシュタミーという祭りにあわせたからだ。

クリシュナ・ジャンマシュタミーは、
クリシュナ神の誕生祭のこと。
インドでは、神様の誕生日が祭りになることが多い。


そして
ニューデリーから電車で二時間ほどの町・マトゥラー(Mathura)は、
クリシュナ神の誕生の地であり、祭りも盛大に行われる。


私の目当ては、マトゥラーで行われる
ダヒ・ハンディ(dahi handi)というイベントだ。

これは、高く吊るされた蜂蜜りの壺を
人間タワーを作って獲得するというものだ。
↓こんなの↓
ダヒ・ハンディ 


かつて私も参加して大興奮した
スペインのトマティーナ祭りにも通じるイベントなのである。
↓トマティーナの様子はこちら↓
トマトまみれで大爆笑!奇祭トマティーナ!

普段からテンションの高いインド人が
祭りになったらどうなるの?
それを見るのが楽しみで
デリーからマトゥラに向かった。

もちろんこの時は
インド人からインド的に翻弄されることになるとは
まだ知らない私である。


ダヒ・ハンディは、朝の9時ころ行われるそうで、
マトゥラまでは2時間半ほど。
だからダヒ。ハンディを観るためには
早朝5時過ぎの列車でデリーを発つしかなかった。

夜明け前も、駅前には人の姿がある。
ありがたいことに、路上にチャイ屋が一軒、営業を始めていた。
早朝のチャイ。
温かさとスパイスと甘さが、目を覚まさせてくれる。
明け方前の景色が、空気の音が、少し色づいたように感じる。
アーリー・バード。
店主にチップを加えて、料金を払う。
インド チャイ屋


駅構内。
早朝の列車も、乗客の入りはある。

列車に揺られていると朝がやってきた。
流れゆく地平線に昇る新しい太陽。
また旅の一日が始まる。
mathura


車内で同じコンパートメントにいたおばさんは、流暢な英語を話す。
私が、クリシュナ誕生祭を目的にマトゥラへ行くと言うと
彼女はブリンダーヴァン行きを勧めてくる。
「クリシュナ祭は、隣町のブリンダーヴァンの方が断然盛り上がるのよ」
彼女の目的もクリシュナの誕生祭で、
マトゥラより盛り上がるというブリンダーヴァンの方へ行くのだそうだ。

ブリンダーヴァンは、マトゥラの隣町だ。
古都であり、たくさんの寺院があり、
クリシュナが幼少時代を過ごした土地であるから
寺院のほとんどクリシュナを祀っている。

ちなみに
クリシュナ神とはこんな神様。
クリシュナ逸話
すっごく青い。
ロマンスの神様らしい。

分身して、たくさんの女性と踊る
ロマンスの神らしい逸話がある。
クリシュナ神


ブリンダーヴァンのことは私も知っていて、
時間があれば行ってみたいと思っていた。

「だけど、ダヒ・ハンディを観たいんですよね」と私。
「ああ。あれなら、ブリンダーヴァンでもやってるわよ」
「そうなの?」
「ええ。町のあちこちでやってるわ」

なるほど、それは知らなかった。
だったら古都ブリンダーヴァンで
祭りを経験するのがいいかもしれない。

そういう経緯で
私はそのおばさんと一緒に、ブリンダーヴァンへ行くことにした。

ブリンダーヴァンへは、マトゥラの駅前から乗り合いのオートリキシャーを
利用することになる。

所要時間は30分くらい。

その間に、おばさんはクリシュナや祭りのこと、ブリンダーヴァンの町のことを
いろいろ教えてくれた。

「クリシュナは、ロマンスの神様なのよ」
彼女は愉しそうにそう言う。

「じゃあみんな、ロマンスを願いにブリンダーヴァンへ来るの?」と私。
「そうよ」
「おじいさんも、おばあさんも?」
「そう」
「結婚してる人も、恋人のいる人も?」
「ええ」
「パートナーがいる人も、ロマンスを求めてくる?」
「そうよ」
「情事だ」と私。
「いいえ、違うわ。」
「でも・・・」
「そうじゃない。みんな、クリシュナと恋に落ちにくるんだもの」

これは新鮮な意見だった。
神様と恋に落ちるという発想は、私にはなかった。

mathura

乗り合いのリキシャ―が
ブリンダーヴァンの参拝道の前に到着する。

祭りの日だけあって
参拝客であふれている。

「まずは一番有名な寺院にいきましょう」
長い参拝道の先に、その寺院はあるらしい。

Janmashtami

次第に人が増えていく。
みんなとても、浮わついている。
祭りの賑わい、高揚だ。

参道を進むにつれて、人が増えていく。
krishna Janmashtami

増える

増える・・・
krishna Janmashtami mathura

人が増える・・・・・・

インド人が増えていく・・・・
クリシュナ・ジャンマシュタミー


参拝道を途中で左へ折れる。
ここら辺から路が狭くなって、さらに人がぎゅうぎゅう詰めになる。

ふと、コルカタで行ったカーリー寺院の混雑を思い出した。

なにかイベントのあるときの
インドの寺院の混雑は、ひどいもので
押し合い、へし合いがあるばかり。
譲り合いはない。

案の定、マトゥラの寺院もすさまじいものだった。
クリシュナ・ジャンマシュタミー

インド人たちが持つ
「我先に精神」
は、大量に人が集まる場所ではかなりな危険となる。

インド寺院


クリシュナ・ジャンマシュタミー ブリンダーヴァン

殺気立つ中では
こちらも鬼のような顔つきになってしまう。
こんな形相の人たちをも、神は愛するのだろうか。

サルたちは
この尋常ではない混雑を
あきれ顔で高みの見物している。
ブリンダーヴァン

なんとか入り口までたどり着く。
しかしそこで無情な一言。

「荷物をもっている者は入れられない。失せろ」
そう門衛にはねつけられてしまう。

これには私もおばさんも困ってしまった。
荷物を預けられる場所はありそうだ。
しかしここはインド。
係員に中を漁られそうで怖い。

おばさんは
私を置きざりに、独りでこっそり忍び込もうとする。
しかし門番は厳格で、見つけて𠮟りつける。

おばさんは、荷物をホテルに置きに行くのがわずらわしいらしい。
門番と激しく言い合うも、入れてもらえず。

隙をみて擦り抜けようとして、何度も失敗する。

「僕がここで荷物を見ておきましょうか?」
と提案してみる。
しかし、さすがに会ったばかり外国人に荷物を預ける
のはためらっている。

おばさんのチャレンジは続く。
かなり意地になっているようだ。

私はさすがにずっとそれに付き合っていることもできず
挨拶をして、人ごみから離れた。

私自身は、寺院に入れなくてもよい。
インドの寺院はどこも似たようなもので
あまり興味はわかない。


それよりも、ダヒ・ハンディだ。
それが私がこの町に来た目的である。

町を歩いて、ダヒ・ハンディがどこでやっているかを探す。
時間はもう9時半だ
もう始まっているだろから、急がないといけない。

クリシュナ・ジャンマシュタミー ブリンダーヴァン

あれだけのイベントなら、どこかに見物の人の流れがあるだろうと
そう思っていたが、参拝道以外はそこまで人はない。

vrindavan krishna

なかなかそれらしい賑わいがない。
嫌な予感をもちつつ
地元の人に訪ねてみると
衝撃の事実が明らかになった。

「ダヒ・ハンディ?あれはマトゥラだぜ」

??What??

いやいや、そんなはずはない。
しかし何人かに訊いたが、みんな同じ答えだ。
さらに
「マトゥラのも、もう終わってるんじゃないかな」
と言われる始末。


この祭りにあわせて、日本から来た男には
あまりにも無情で、残酷な宣告だ。


クリシュナ祭自体の盛り上がりは、夜である。
寺院などがライトアップされて、音楽が鳴らされみんなで騒ぐのだ。

しかし私は日帰りだから、それもみられない。

肩透かし。

調査不足が原因ともいえる。

しかしあのおばさん
「ダヒ・ハンディ?町のいたるところでやってるわ」
とはっきり言っていた。
それを信じた私が愚かだったのだろう。

またインドにやられた!というのが、正直な感想である。

あのおばさんの発言こそが、とてもインド的である。

彼女は悪意があって、嘘をついたわけではない。
インド人特有の
「個人の憶測を、確定的な事実として断言する」
という、あの話法であったにすぎない。


インドを旅すると、たびたびこの話法に翻弄されることになる。

インド人が適当なこと教える理由として
「困っている人に、なにかしらの答えをあげたいから」
などと言われる。

しかし私が思うに、彼らは単にプライドが高いのだとそう思っている。
彼らは
「知らない」「わからない」ということを口にしたくない
と、そう感じている。


とにかくインドを旅していると
個人のあやふやな憶測でも、断定的に語られる。
その情報を頼りに行動すると、振り回されることになるわけだ。


「実際と違うじゃないか!」
と文句を言ったとしても柳に風。
効果なんてない。

こちらの迷惑や、怒っている気持ちを汲み取るレーダーは、
インド人にはない。
(あるい気が付いても、気にしない)

こういったことは、もう諦めるしかない。

それですっかり諦めて、流れに身を任せられれば
インド旅行はぐっと楽になる。

しかしそうできない人は、インド旅行は苦行となる。


ちなみに私には苦行である。

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