世界一周を終えて
世界二周目の旅だ。

旧共産圏もほぼすべての国を周った。

巨大な、そして無機質な建築物をたくさん見て
それには慣れていたはずだった。

しかし旧共産圏の見栄っぱり巨大建築物のなかで

ブカレストの「国民の家」は
規模がけた違いだった。

「国民の家」は、
共産党党首の独裁者チャウシェスクが
国家(というか自分)がどれだけ豊かで力があるか
対外的に示すために建設された行政の施設だ。

実際のそれは行政施設とうよりも巨大な宮殿である。
贅の極みを尽くしたもので
その途方もない規模の大きさが、
チャウシェスクの誇大妄想的な性質をよく顕している。

なにしろ万里の長城と同様、
この建造物は月から目で確認できるのだというから
その規模の大きさがわかるだろうう。


1983年に着工し、1989年に革命で独裁政権が倒れ
今現在も未完成である。
部屋数は3000以上ある。

行政の建造物として、床面積は世界で二番目に広い。
(一位はアメリカのペンタゴン)

地下には、逃亡用の秘密道路があった。

イギリスの車番組「トップギアー」がその地下道路を車で走行していた。

なにもかもがけた違いだ。

だがこの宮殿を見学しても、感動は薄かった。

どこも金をかけて手が込んでいるが、
しかしそこには
優れた芸術品、意匠品が内包する「悦び」が感じられないのだ。


百聞は一見にしかず。

内部の様子を紹介しましょう。

この距離だと大きすぎてカメラに納まらない宮殿。
世界二周目


来館者はツアーに参加することになる。
このロビーで出発を待つ。
ヨーロッパ宮殿


廊下はひろく長い。
舞踏会


廊下、部屋、ホールが繰り返される。
永遠に続くんじゃないかと思うほど広い。
国民の館


大理石がふんだんに使われている。

彫刻も施されているが
しかし心に響いてこない。
共産党遺産


ホールでもそれは同じ。
ブカレスト
こんなに立派で贅を尽くした空間なのにどうして、

と考えたら、この建築からは造り手の悦びが伝わってこないからだった。

悦びをもって造られた作品は、必ずこちらの心にも明るい波を投げかける。

だがここはまるで
機械がプログラミングで造ったような
そんな味気なさを感じるのだ。

チャウシェスク


きっと製作者たちは、この建物がどれだけ馬鹿らしいものか

指導者の虚栄のために、どれだけ国民の困窮を無視しているか

それをいやという程理解していたのだと思う。

国民の館

注文通りの、義務的な製作しかしなかったのではないだろうか。
そこには創造がない。


もし安倍首相が、
都内の中心部にショッピングモールよりもでかい
政府の巨大迎賓施設を造ると言い出したら

そしてそのために国民から負担金を徴収するとしたらどうだろう。

国民は猛烈に反対して、安倍首相は罷免されるだろう。

そんな非常識なことは、ありうるはずもない。
だがそういうことがまかりとおっていたのが、
共産党政権下のチャウシスク独裁というものだった。

チャウシェスクはここで舞踏会をひらいていたらしい。
国民が困窮するなか、贅沢な宴もひらいていた。

彼の行為は中世の貴族や王族の態度と
それほど変わらない。

貴族などの特権階級が民を支配をする
かつての社会体制の悪弊が
現代に再現されると
現代的な視点をもつ私たちには、ひどく歪さをもって映るのだ。

だが貴族の支配は終わったし
チャウシェスク独裁も革命に倒れた。

時代はちゃんと、良い方向に流れているのだ。

の歪な巨大宮殿を見学して
それが肌で実感できたことは、自分の中で明るい材料となった。

ルーマニア国民には、この建物の解体を望む声も多い。

チャウシェスクの誇大妄想と、共産党エリートたちの
大仰な生活を象徴してるからだ。

私はいっそのこと、ここを巨大な市場にして
(リガの市場みたいに)
徹底的に庶民の手に渡して運営すればよいと思う。

それこそこの建物が真の「国民の館」となって
革命の象徴となるだろうから。

以上。
ブカレストの「国民の館」見学でした。
では。
遺構

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村
関連記事
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

トラックバック

トラックバック URL
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)